だまされている姉を共謀して略奪愛を装い助けた話

私が20代なかばだった時のことです。

親戚の姉の家わりといいお家柄なのですが、ちょっとたちのわるい男の人と付き合っていて、親戚間でも問題になっていました。

でも当の本人は、反対されればなんとやら、吊り橋効果なのかロミオとジュリエット効果なのか、かえって燃え上がってしまい、自宅の別宅にその男性を引きずり込み、同棲をはじめてしまいました。

私には関係ないし、と思っていましたが、ある日、その親戚の姉の妹に相談されました。

もちろん、その親戚の姉のことです。

話をきくところ、親戚の姉はDVを受けていて、その男の人は無職に近く、姉の稼ぎで競馬をやって、あろうことか女好きで若い別の女の家にも転がり込んでいるのだという話なのです。

話をきいていて、私もなんてクズ野郎だ、とは思いましたが、だからって、親戚のおじさん、おばさんたちがとめてもどうにもならないものは、本人の目が覚めない限り無理だろうと、さめたようなやるせないような心持ちでいました。

なかば引きずられるように妹さんに引っ張っていかれて、親戚の姉をみれば、姉の腕には青あざが、顔はなんだか生活に疲れたかんじで、私と5歳ほど離れているだけなのに、40代に近いような別人の顔になっていました。

それをみて私も妹さんも、口をそろえて心配と反対の言葉をなげかけましたが、姉は困ったように笑うだけ。

妹さんには怒っていました。

そして、妹さんは私に提案してきたのです。

私、今、ゆるがない浮気の証拠をつきつけてやろうと、その男を誘惑していると。

あなたには、その証拠をとって、その男がちゃらいクソ男だという証人になってほしいと。

なんとその男、妹さんにもコナをかけていたのです。

私も、まさかという思いでしたがその男にちょっとしなをつくってにこにこと数度接してみたところ、本当に下心まるだしでのってきました。

こいつはくずだと確信し、妹さんとセットで計画実行をきめたのです。

詳細は身バレが怖いのではぶきますが、定期的にその男の家に彼目当てで遊びに来ました、を繰り返し、ちょっと気のある素振りから、彼氏にでもするような甘えやねだりを繰り返しました。

そしてある夜、妹さんをいやらしく背後から抱きしめたところで、私は姉に偶然をよそおいその光景をみせることに成功したのです。

もちろん私も、最初は私だけだと思ったのに信じていたのにちょっとおかしいとおもった、という体で、妹さんにも手を出そうとしていた、と、実際のセリフを録音していたものをきかせました。

もちろん被害者風にです。

私や妹さんですらそうだったのだから、姉さんが騙されても仕方ない、というふうに。

そこからは修羅場でしたが、姉さんが完全にきれたせいで、もともと姉さんの実家の居候でしたから、その男と破談になりました。

親戚のおじさんも、実は興信所を雇っていて、べつの女の家にもいりびたっている写真をおさえていました。

妹さんのほうはまだ距離が近かった分ちょっとつきまとわれたようですが、警察に通報してやる、のひとことで男はあきらめたようです。

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