私は現在33歳の畜産製造業に携わる女性です。
今はそうではありませんが、恋の多い過去がありました。
小学校の頃から惚れやすく20代の前半までいろんな人に惚れてきましたが、今まで自分が惚れた相手と恋が成就したことはありませんでした。
惚れた相手は、あまり話さないクラスメイトや、たまたま立ち寄ったお店で働いていたお兄さんなど、どちらかといえば私にとってあまり知らないといえるような相手ばかりでした。
知らないからこそ相手を美化して盛り上がっていたのかもしれないと、今なら思えます。
さて、21歳の頃に現在の職場とは違う会社で勤めていましたが、あまり親しくない同僚がいてその男性に好意を寄せていました。
好きになった要素と言えば朝の挨拶が他の不愛想な男性と違って笑顔だからくらいです。
朝挨拶するくらいしか接点がありません、それなのにその人が素敵に思えてなりませんでした。
好意はありましたが、アプローチをしようという考えは全くありませんでした。
その男性には同じ職場に恋人がいて、その女性とは明らかに距離感が違いました。
人様の幸せをぶち壊してまで、自分の想いを成就させようという強い気持ちはなかったので、ひたすら傍観する日々です。
ある日、そこまで親しくない彼女の方から初めて一緒に食事に行こうと誘われました。
親しくないので食事中ずっと気を遣い続けていましたが、彼女の方が積極的に話しかけてくれたのでほっとしました。
人の話を聞くのは好きなので、私もにこにこしながら会話を楽しみました。
しかし、彼女はふと自分の彼氏の話を始めました。
相手に対する不満を爆発させるように最後まで愚痴を言い続けました。
彼氏の愚痴を聞いてくれる相手と認識されたのか、次から彼女が食事に誘ってくれた時はずっとその話ばかりされました。
そういえば、会社でも二人が一緒に話している場面をよく見かけましたが不穏な雰囲気でいる事が多く、最初から相手を責めたり、お互いの要求をぶつけたりしていました。
ちょうどいいところで仕事の話に切り替えている様子もありましたが、心の底の方では釈然とせず、相手を責めているのではないかと感じました。
彼氏の方も別の同僚に彼女の事を愚痴っている事が度々ありました。
もしかしたらそろそろ破局してしまうのではないか、と思っていたところに男性の方から食事に誘われました。
彼女の愚痴を聞いて色々アドバイスをしたり、慰めたりしていたので、彼女の方から私の話を聞いたのかもしれません。
食事に行くと案の定、彼女に対する愚痴から始まりました。
別れたいとまでは言いませんが、不満が貯まっていてつらそうだったので、彼女にしたのと同じようにアドバイスや慰めの言葉をかけました。
彼女を褒めるつもりで「こういう良いところもありますよ」と言うと、「そんなことないよ、実は…」とさらに不満を漏らしたので、「そうか、それは悲しくなりますね」と徹底的に聞き手に徹しました。
そうやって二人の不満の聞き手を続けた結果、二人とも私に別れる事を告げてきました。
二人が別れた後、男性が私に付き合いたいと申し出てくれて、交際が始まりました。
私のやった事と言えば、徹底的な聞き役です。
それから二人の会話が分かる位置にいた事です。
お互いが納得して別れたので、自分の元彼と付き合いだした私を見て彼女の方は心配してくれました。
不満を持って別れた相手なので尚更だったのでしょう。
結果的に見れば略奪愛でしたが、全員が納得してこの結果になったという奇妙な体験でした。
コメント