私がまだ二十代の前半で若かった頃、気持ちのままに突っ走っていた時の話です。
彼とはよく行くバーで出会いました。
そのバーは、たまたま仲のいい友人から勧められて通うようになったところでした。
お酒が好きな事もあり、本格的なカクテルを出してくれるそのバーへは、多い時で週に1回程度足を運んでいました。
頻回に行くわけでは無かったですが、それでも週に1回はコンスタントに通っていましたので、2ヶ月も経つ頃にはだんだんとマスターとも打ち解けた会話をするようになっていました。
そこである時、毎週末自分と同じようにカウンターで飲んでいる彼の事をマスターに聞いてみたところ、バーの常連客との事で、毎週末1人で来ていると教えてくれました。
同じタイミングで来ている彼へ興味を持った私は、勢いだけで彼へと話しかけ仲を深めました。
そこから男女の深い仲になるのはすぐでした。
毎週末にバーへ行き、彼と日付が変わる頃まで飲んで私のアパートへ行き、しばらく楽しんだら彼は帰って行きます。
決して泊まりません。
正直言えば、その時点である程度は予想していました。
きっと私は本命では無いし、さもなくばこの関係は法にさえ触れると気付いています。
ですので、しばらくの後に彼へと問い詰めました。
やはり彼には別の相手が居ました。
結婚はしていないが婚約者がいるとの事。
でも今は私との関係が大事で、婚約者との結婚に躊躇っていると言われました。
そんな事を言われた私は舞い上がりました。
それであればさっさと婚約者とは別れて、私と一緒になればいいと彼を諭します。
すぐにはもちろん首を縦に振りませんし、都合よく言っているのも察しながら毎日電話やメールで説得し続けていました。
もちろん毎週末のバーでも説得しました。
そんな姿を見ていたマスターから、実は彼は結婚していると知らされました。
婚約者では無く奥さんがいらっしゃっると知り、彼へ問い詰めたらやはり認めました。
そこで私は最悪な事実への怒りから、その晩、早々に彼に帰宅を促して後を尾行し、彼の帰宅した自宅へそのまま突入。
奥さんへ彼と深い仲だと伝え、不倫関係だと言う事はついさっき知った事やこれまでの経緯を全てまくし立てるように話しました。
奥さんは何とも言えない表情で彼と私を交互に見て、とりあえず今夜は遅いからという事で別日に話し合いの場を設ける事になりました。
奥さんと連絡先を交換して帰宅した私へ、彼は「いきなりあんな事するのはルール違反だ」とメールしてきました。
謝るでも無く、気遣うわけでもないメールに腹は立つし悲しくなりました。
後日、彼と奥さんと私で話し合いを行い、奥さんからは彼と離婚するから好きなように関係を続ければ良いと言われました。
ただし、慰謝料として貯金は持って出るからそれは納得してねとの事。
私との関係は咎めもしないし、訴えもしないと約束さえしてくれました。
私自身、知らぬまの不倫という事もあり、奥さんの温情措置だったのだと思います。
そして、私自身も彼との関係はもちろん悩んでいましたし、不倫の事実に腹が立った事も事実でした。
もう別れる事も頭にはありましたが、離婚すると聞いて喜んでいる自分もいました。
その後はスムーズに彼と奥さんは離婚が成立し、改めて彼から交際を申し込まれて正式にお付き合いをはじめました。
やっぱりズルズル不倫関係に甘んじるよりは、さっさと奥さんへ会いに行って正解だったと思います。
正直な気持ちで全て考え、行動した結果が自分にとって最善の結果だったと感じています。
感情的に突っ走っていた事は多々あったと反省もしていますが、それでも正直に行動し、彼との交際に発展したのは嬉しく思えました。
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